Fade out.

目で見たもの、耳で聞いたもの、そんなもの達と向き合っていく日々です。

伝説創るイッテンゴ

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2日目、イッテンゴについて。あまり興味のない方も引き続きお付き合いいただきたい。

 
本題に入る前にちょっとした余談を。今年のWRESTLE KINGDOM に参加するきっかけとなったのは、母だった。母は近年体の具合が悪くなかなか外に出れないため、鬱屈とした気分になっていることが多かった。 そんな昨年、獣神サンダー・ライガーが引退を表明した。

年齢も年齢だと思っていたが、ライガーが引退する日がくるとは正直思っていなかった*1。更に2019年はKUSHIDAが渡米・WWEへの入団があったりとジュニアヘビーの将来を不安視しているところだった。
私の母はライガー一筋30年のかなり熱狂的なファンである。随分昔のマスクを被ったライガーのたった一枚のタオルを今でも大切に大切に使っている*2。最早行かない、という選択肢はなかった。本物のライガーを見せてあげたい遠くからでも最後の試合は肉眼でみせてあげたい、そう思った。簡単に動画で再生する事ができる時代だからこそ目の前でみる興奮は何にも代え難い。万一の非常事態に備えて、できることは全てした。母の具合を心配する父をなんとか説得し、上京に成功したのである。
 

試合を振り返る

第1試合 ライガー引退試合
対戦相手はヒロムとリー。ヒロムは以前新日本の取材で下記のように述べていた。

ジュニアヘビーを背負っていく二人が、ジュニアヘビーの歴史を作ったレスラーに本気で向かっていく姿に心を打たれた。試合直後にレスラーが泣き腫らす顔をみて、もらい泣きしてしまった。もう二度とリングに『怒りの獣神』が流れる日は来ないのだと知った。隣では「ライガーちゃん」とすすり泣く母の声が聞こえる。
今後のジュニアヘビーはヒロムやリー、オスプレイが牛耳っていくだろう。彼らが更に歴史を変えていくことを心から期待しているし、ライガーはそれが出来る選手に将来を託した。そしてプロレスファンである私はそれを注視していく責務を感じるのである。
怒りの獣神

怒りの獣神

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ライガーが引退したその翌々日(1月7日)、中西学佐野直喜も引退を表明した。ここ数年でプロレス界には、一気に世代交代の波が押し寄せている。寂しい気持ちとワクワクする気持ちが入り混じってもはや苦しい。イッテンゴのことを思い出すと、今でも涙が出る。というかこれを書きながら泣いている。ライガーは”しんみりするのは好きじゃない”というが、なんとも喪失感の大きい引退試合だった。『推しは推せるときに推せ』という名言があるがその通りだ。自分にも相手にも、いつか終わりは来る。今の推しは今しかいないので、全力で応援する。これがファンが渡せる唯一の形だと思うから。

 
第2試合 ●エル・ファンタズモ&石森太二vsSHO&YOH〇
ROPPONGI 3KとBuletの試合だったわけだけど、SHO&YOH、特にSHOは本当に強くなったなと思う。打たれ強さももちろんだけど、技や試合を見ていてわくわくさせてくれる。YOHはキャラクターを定めるのにまだ迷っているイメージ。とはいえ二人とも華があるのでこれからの活躍が更に楽しみになった。
 
第3試合 〇ザック・セイバーJr. vs SANADA●
これもいい試合だったなぁ。二人の力が均衡しているので最後の最後まで勝敗が分からなかった。結果SANADAが負けちゃったので悲しいけど、ザックの凄さを改めて実感した。この試合を見ながら、ああ、プロレスって本来こういうものだよな、と思った。決して煌びやかではないけれど、男としてレスラーとして、自分の実力を存分に使いきる感じ。すごく好きな試合だった。
 
第4試合 〇ジョン・モクスリー vs ジュース・ロビンソン
それなりに楽しみにしていたんだけれど、どっちが勝つかなぁくらいの興味だった。ごめんやで。試合終了後、何やら聞き覚えのある入場曲が・・・すると、我らの鈴木軍ボス・鈴木みのるが登場。まさかここで殴り込みにくるとは・・・!奪い取りに来たのねベルトを・・・。イッテンゴに登場&宣戦布告するとは思わなかった。東京ドームで『風になれ』が聞けてめちゃめちゃに嬉しかった。「誰に喧嘩売ってんだ?俺はな、プロレス王・鈴木みのるだ。こいつが売った喧嘩、俺が買ってやる」・・・来世で一緒になってもらえないだろうか。かっこよすぎる。
 
第5試合 ●KENTA vs 後藤洋央紀
後藤のことは好きなのだが、なかなかパッとしないので毎回やきもきしていた。今回KENTAと戦うことになってチャンス到来!と思った。結果GTRでKENTAを沈めた後藤。CHAOSに入ってからの後藤はみるみる強くなっていくなぁ。『牛殺し』と呼ばれる所以となった頃を彷彿とさせる試合で、大満足。
 
第6試合 ●飯伏幸太 vs ジェイ・ホワイト
圧倒的に飯伏を応援する声が多かった。まぁジェイはやらかしまくってるから仕方ないのだけれど。とはいえジェイも普通に強いので、試合内容自体はすごく良かったと思う。飯伏が2.95カウント決めて外道が入ってきたときはまじの帰れコールした・・・。ジェイというより外道がKUSOすぎてもう・・・。ジェイ、お願いだから飯伏をヒールに染めないでね・・・。
 
第7試合 ●棚橋弘至 vs クリス・ジェリコ
AEWへの挑戦権をかけた、新日本のエースによる戦い。個人的には勝ってAEWに挑戦してほしかったので、とても残念な結果になってしまった。まぁジェリコ強いよね・・・。Mr.WKと称される棚橋だけど、個人的にファンタスティカマニアのイメージも強い。なんで?
 
第8試合 ●オカダカズチカ vs 内藤哲也

先日ベルトを獲ったもの同士の戦い。ダブルベルトを賭けた壮絶な戦いだった。会場は7割内藤3割オカダって感じだったかな?最後はデスティーノで内藤が決め、オカダが敗れ去った。手元にあったはずのIWGPヘビー級のベルトは無冠の王者である内藤に渡ってしまった。『逆転の内藤哲也』は文言通り、下剋上を成し遂げたわけである。

内藤もかなり不遇の時代が長かったように思える。自分の良さを見極めるのに苦労している姿は痛々しかったし、そんな中でほぼ同期であるオカダカズチカが成りあがっているのを見ているのは辛いというよりもどかしかったと思う。なのでイッテンゴは内藤にとってレスラー人生を左右する一日になったのではないだろうか。とはいえイッテンヨンでようやく飯伏を沈めたオカダが翌日にはベルトを獲られてしまったのは残念極まりない。

内藤が勝ち切った最後の最後、ハポーン!を大合唱しようとしたその時、KENTAが乱入してきた。後藤に負けた直後にベルト奪いにくるなんて、その度胸がすごい。その後の流れもなかなか面白いのだが、KENTAがTwitterで暴れまくってて最高だな、と思った。ベビーフェイスだけでもヒールだけでも面白くない。とはいえ、内藤が手にした重要な2本のベルトをあんな形で無下にされ、ロスインゴファンからすると怒りでしかないだろうな。気持ちは分かる。これからの展開が更に楽しみになった。

 

嘘だろ?と思ったら既に虜

いつも試合前にカードを確認し、自分の中である程度勝敗を予想して観戦している。今回は8試合中2試合しか当たらず、文字通り嘘だろ?!と思った。予想を覆してくるのがプロレス。小説も音楽も、先が読めたら面白くないからね。また1年、この日起きる何かのために、プロレス界の行方を見守り続けるのだろう。2日間を通じて私も30年追えるレスラーを見つけたいと切に考えた。最も好きな中邑は海外でめきめき成績を残しているし、当分日本に帰ってこないんだろうか・・・。ヤングライオンにも気になる選手がいるし、とにかく興味が尽きない。60歳になっても、テレビの前ではしゃげる大人でありたい。

*1:引退宣言をしないレスラーも多く存在する

*2:母曰く、このタオルもいつぞやの貰い物で、これまで本物を見たことがないらしい