Fade out.

目で見たもの、耳で聞いたもの、そんなもの達と向き合っていく日々です。

76.美術館へ行く

さてやりたい事リストをつけ始めてから約2年、とうとう100を超え120個になった。前にTwitterにも書いたんだけど、このリストを付けるようになってから不思議と叶うことが多くなってきた。所謂引き寄せの法則というやつなんじゃないかな、と思っている。このことについてはいつかどこかで詳しく書こうと思う。

 

その中でも叶っている以上に趣味になりつつある美術館巡りについて書いてみたいと思う。そもそも上京してきてからというもの、知り合いもいない土地でやることもない。行ったことがない場所だし、行ってみるかと思ったのが全ての始まりだった。それから約1ヶ月に一回のペースで都内の美術館に赴いているという具合である。

 

今回は東京都写真美術館の「世界報道写真展2018」へ行ってきた。世界から選ばれたジャーナリスト達の作品が並ぶ。私が個人的に印象に残ったのはアミ・ヴィタールの作品で、これはケニアで行われている子象を保護する活動を写したもの。地球で暮らす以上動物との共存は必要不可欠。だけど自分以外に、しかも動物を救うというのは体力のいることだと思う。写っていた飼育員の表情からは安堵や優しさが滲み出ていた。哀の表情は分かりやすい。だけど喜や楽の表情をここまで引き出せる作品はそう多くはないと思う。廃棄されるゴミに注目した写真もそうなんだけど、私ができることをしていきたいと思った。

最も衝撃的だったのは大賞にも選ばれているロナルド・シュミットの作品だ。大賞に選ばれる理由が一目でわかるほどの緊迫した雰囲気。火だるまになっているのは紛れもなく人間。私たちと同じなのに。世界各国で抗議デモが行われているのが現状で日本ではそれを体験することがない。それでも、壁に描かれている落書きが、他人事じゃないと訴えかけている気がした。

 

写真とは別に、朝日新聞社による福島の「帰宅困難地域の四季」を映像化したものがあった。当たり前の風景には残された家族写真や干したままの洗濯物。人のいなくなった街と戻れない日常に傘を差すガソリンスタンドの店員さんたち。日本である限り四季は巡るのだが、彼らはそれを福島で経験することができない。もどかしい気持ちになったのをよく覚えている。風化させてはいけないのだと思い知らされるのだ。いつかありふれた日常が戻ってきてほしいことを心から祈りたいと思う。